地方分権と生活保護
地方分権と生活保護
2005年、国(厚生労働省)と地方との間で「三位一体の改革」の一環として、生活保護費の国と地方自治体との負担率を変更しようとの議論が行われた。
現制度では支給される保護費について国3/4、地方1/4の割合で負担しているが、これを国1/2、地方1/2に変更しようとするものである。さらに住宅扶助の一般財源化(地方交付税交付金に含めて国が交付)、保護基準(最低生活費)を地方が独自に設定することができるようにしようとした。
厚生労働省の主張は、生活保護行政事務の実施水準が低いところは保護率が高い水準にあり、保護費の負担を地方に大きく負わせることで生活保護行政事務の実施水準を向上させざるを得ない状況にして、国と地方を合わせた保護費の総額を減らそうというものである。
しかしながら地方六団体は、憲法第25条で国が最低生活の保障を責任を持っていること、最低生活を保障するという事務は地方自治体に裁量の幅がほとんど無いこと(幅を持たせるとすれば、最低生活費を下げるあるいは上げるということになる)、仮に現段階での地方の負担増に合わせて税源を移譲されたとしても今後保護世帯数が増加すればその分が総て地方の負担となること、等から猛反発した。福祉行政報告例第1表?第4表並びに第6表の生活保護関連統計の国への報告を停止する行動に出た自治体もあった。
保護率が高い地域を都道府県ごとにみると、北海道、青森、東京、大阪、福岡、沖縄等であり、地域経済が活発ではない地域(北海道、青森、沖縄)、過去の炭坑閉鎖の影響を引きずる地域(北海道、福岡)が主である。その反面、東北地方の中でも青森県が突出して保護率が高い、四国では保護率が高い県(高知、徳島)と低い県(香川、愛媛)に明確に分かれる等、単に経済状況だけでは説明しきれない面もある。
逆に保護率が最も低い県は富山県であり次いで島根県である。理由として両地域は保守的で生活保護を恥と見る人々が多い事があげられる。また富山県は持ち家率や世帯所得が日本一高くそもそも生活保護の対象となる家庭が少ないと予想される。
保護率の高低は、経済状況だけでなくその地域の世帯の状況(1世帯当たりの世帯員数、3世代同居比率等)や県(道)民性、住民の意識(権利として主張する、恥だから受けたくない)等様々な要因が絡み合い、一概に言い切れるものではない。
なお、この問題については後に撤回され、現行通りの負担割合とすることで決着した。
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